ルアーと言っても多種多様な種類が存在するが、今回は主に海で使用されるルアーについての私の考えを書き残そうと思う。素人の戯言だと思って読んでいただきたい。
少々マニアックな話になる。
昨今のソルトウォータルアーの流行りの一つとして(強烈なフラッシング)この要素を持つルアーが飛ぶように売れている。
シマノのルアーでは(フラッシュブースト)ダイワでは、つい最近発売された(レーザーインパクト)これらの機能はどちらもルアーをリアルなベイトフィッシュに似せた光を反射する機能だ。
私自身もシマノのフラッシュブーストを搭載したミノーを3本ほど購入したことがある。こんなの釣れないわけがないだろと。
私はシマノに釣られた。
使用してみての感想は。従来のルアーと釣果の差は感じなかった。
このフラッシングに関して私が疑問に思うことがある。
フィッシュイーターの餌となるベイトフィッシュはどれもキラキラしている。
これに似せれば釣れる。というロジックは理解できるが。フィッシュイーターは本当にそのフラッシングを頼りに捕食を行っているのかというところだ。
フィッシュイーターの多くは側線や嗅覚が非常に発達している。
なぜイワシが光を反射するのか考えてみて欲しい。光を放つと捕食されるのなら。
イワシは光を放たないマットな質感で進化をするはずだろう。
群れを成す魚の多くは視認しやすい見た目をしている。
イワシは青物とタイマンを張ろうとは鼻から考えていない。群れ対1の戦略で現在まで生き残った。イワシは群れを形成するため、互いに光を放ちそれを頼りに群れを形成しているのではないだろうか。
とはいえフラッシングが全く無意味であるとは思っていない。ただ過剰なフラッシングに意味があるのかという話である。
売れるルアーには巧みな広告戦略がある。
強烈な謳い文句、プロによる論理的な解説と釣果写真。まずはこれらを広告する。
ここで新しいもの好きなアングラーが飛びつく。
次にメーカーは釣果をInstagram等でアップしてくれた人にプレゼントなどのキャンペーンを行う。
Instagram等に同じルアーを使用した釣果写真が増える。
すると私たちはこのルアーは本当に釣れるんだな。と勘違いをしメーカーに釣り上げられるのだ。
これを繰り返してルアーはめまぐるしい進化を遂げてきた。しかし外観的な特徴を持つルアーはその魅力の伝えやすさからビジネスとして成り立ちやすいのだろうが、ルアーメーカーの重鎮HEDDONの創業者ジェームス・へドンは「どんなに生餌に似せたルアーを作っても、何も得ることは無い。」という言葉を残している。
私もこの考え方は深く賛同している。それでも幼い頃はリアルなルアーこそ至高であると考え、陳列されたリアリスティックなルアーにはやはり心が躍った。
今の私の考える良いルアーとは、リアルさを謳うルアーではなく。思った通りに動くルアーだ。
例えば、飛距離。根がかりの回避性能。フックがラインと絡まないこと。フッキング率の高さ。バレにくさ。泳ぎの安定性。など。これらがそれぞれの用途ごとに最適なバランスで設計されている。
名作と言われるルアーには生き物としてありえない形をしたルアーが多いのもその証拠だ。
ブラックバスやトラウトにおいては先述のHEDDONなどのルアーメーカーが文化をけん引してきた背景も大きい。
青物やシーバスのルアーはまだまだ歴史が浅く。リアルなルアーは簡単に作れるため、国産大手メーカーが力を入れている要素なのだ。
メーカーは魚釣りのプロであり、人釣りのプロでもあるということを忘れないで欲しい。しかし、メーカーが存続しなければ私たちの釣り具すらなくなってしまう訳で。
構図としては。プランクトン→ベイトフィッシュ→フィッシュイーター→サピエンス→釣り具メーカー。
やはり私たちサピエンスはこれからも釣り具メーカーの餌となり続ける他ないのだ。