rk_southsideの日記

絶叫Z世代

愛車とのお別れ


初めて車を買ったのは20歳 社会人1年目の11月ごろだ。

グアムに旅行に行って帰ってきたら車が届く予定で、グアムどころではなかったから今でも覚えている。

 

同級生や同期が車を買って、それに乗せてもらったりしたとき自分も車が欲しくてたまらなくなった。

車を買うなんてそんな大出費したこと無い自分には、まだ縁の無い物だと思っていた。

かっこいい車に女の子をたくさん乗せてお出掛けして、すました顔でハンドルを握ってイキりたかった。

 

ある日BMWのシルキー6と呼ばれる名作エンジンとドライブフィーリングに魅了され、とりあえずと見に行っただけのBMWのE83をその場で購入した。

 

当時手取り13万円ほどだった自分は、車のために働く日々が始まった。

悪い顔つきをしたE83は中身も極悪で、燃費はリッター6kmという暴力的な数値。通勤だけで毎週1万5千円失った。

お金が無くなれば毎日10kmをダッシュで通勤した。近隣の人がどんな目で私を見ていたのかは考えたくもない。

 

それからしばらくして、貧乏な私はコロナ渦で会社を解雇になり借金を負い、極貧生活が始まった。

普通なら車を手放せばいいと思うだろうが、見積もりは1万円だった。NIKEエアフォース1と同じ。売ってどうにかなるものではなかった。

外車とはそういう物だ。

 

車中泊をしながら就活した。

徳島県のとある会社に面接に行くと、老社長が私の車をずっと見ていた。

ホームレスの住む車がそんなに珍しいかと思っていたが、優しい目で私に「車が好きなのか?」と聞いてきた。「はい」と答えると、会社のシャッターが開き、なんと中からBMW初代M5が登場した。

あまりのかっこよさに鼻水が出た。そのまま老社長のM5の助手席に乗ってドライブに連れて行ってもらい、同情もあったのか気に入られそこで働くことになった。

家もその会社の倉庫の2階を貸してもらった。

車より遥かに快適だった。

 

生活が安定した頃には出来ることも増え、私のアウトドア熱は一層加速し。キドニーグリルに相応しい荒い鼻息で、鼻水とガソリンを垂れ流しながら四国中いろんなところを駆け抜けた。

川を渡り、砂に埋まったり、林道の枝を弾き飛ばしながら走ったり、雪道での限界に挑んだり、足回りの作りが秀逸で走るのが楽しすぎて運転して疲れを感じたことは無かった。

 

 

そんな愛車は2021年の冬、渓流釣りに出かけていた時。車に戻ると冷却水がしこたま漏れていた。川の水を入れてなんとか家までは帰った。

この冷却水漏れは修理したのだが、直しても直しても違うところから漏れて金銭的に維持ができなくなったので先月、ついに手放した。

まだまだ乗りたかったのだが、走行距離も20万キロということもあり仕方がなかった。

納車された時では2万5千キロだった。

この年代のドイツ車としては、なかなか壊れなかった方ではないだろうか。

 

次に乗る車はハイラックスサーフ

こちらは質実剛健といった感じの車で、ランクルほどの走破性は無いもののラダーフレームで一般的な使用には十分すぎる構造をしている。

他に乗りたかった車としてはスバルのアウトバック、ランドローヴァーのディフェンダー。ただこれらは思いっきりアウトドアで傷をつけまくるには私にとって高額過ぎた。ディフェンダーに関しては渓流や山に入る事が出来ない。

そして最近アウトドアの荷物の増えすぎた私にはこの積載量が無いと駄目なのだ。

本当は国産最強クロカンのジムニーが好きだが、積載量が話にならない。

 

ちなみにサーフでは珍しい2WDの車両になる。

一般的にはなぜサーフで2WDなんだと嘲笑する人もいるだろうが、私は5年前にアメリカのLAで見たSUV達に衝撃を受けた。

LAのSUV達は大型のピックアップトラックジープでさえも8割程が2WDなのだ。

私はそれまで4WD以外はありえないでしょ。と考えていたのだが、よくよく考えるとフルタイムは別として、パートタイム4WDのセンターデフの無い車両で4WDを使う必要のある場面というのが自分の行動範囲内では存在しないのだ。

E83はフルタイム4WDだったが、特に必要ではなかった。

使うことのない物を所持するのはそれは見栄か無知か臆病だ。

そもそもサーフの起源はラダーフレームでFRのトラックだ。軍事目的から派生したジープ等の4WDなどとは起源が異なるのだ。日本ではここの線引きが非常に曖昧なままなので未だに4WDが常識となっているのだろう。ハリアーからランクルまでもが全てSUVというジャンルに括られている異常事態である。

私が乗るハイラックスサーフはFRのラダーフレーム。まさに、ピックアップトラックにキャビンを付けるのが流行した80年代SUVの元祖の様相を呈している面白い車だ。

アメリカで見たSUV達の砂煙に塗れたボディと黄ばんだライト、バンパーが無くなってたり、引き摺りながら走る車。本気でアウトドアを遊ぶためのSUV達の姿。降りてくるのは、外での遊び方を知った野生の紳士。かっこ良かった。

そのような余計な装飾の無いリアルな使い方に憧れたので今回は私もそのような車との付き合い方を目指したいと思った。